税務調査が好きな人はいないと思いますが、税理士にとっては腕の見せ所でもあり、大変なエネルギーを使います。
今回はそんな税務調査が終わった後、ふと疑問に思うポイントです。
前年度の申告を修正した場合、修正前・修正後のどちらの数字を基準に予定納税を計算するか、についてです。
修正申告が新年度6か月経過後かどうか
これには明確な基準があって、修正申告書の提出日が年度開始から6か月経過前か後かで決まります。
◆修正申告書の提出が、
年度開始6か月以内の場合 ⇒修正後の税額を元に計算
6か月経過後の場合⇒修正前の税額を元に計算
3月決算法人なら9月30日までに修正申告書提出なら修正後。10月1日以後提出なら修正前の当初申告税額が基準となります。
税務調査の連絡自体が5か月目ぐらいに来ることが多いため、ちょうどこの判定基準の前後にかかりがちになります。
3月末決算
5月末 申告書提出
8月25日 税務調査の連絡
9月15~16日 実地調査
9月下旬 修正申告内容が決着
10月2日 修正申告書提出 追加納付
11月 予定納税
このような日程で進むと、申告書の提出日が10月なので、予定納税は当初申告書の金額基準から変更にはなりません。
ところが、9月末ギリギリに修正申告が間に合ってしまうと、予定納税も修正後の金額基準に変わってしまうので、注意が必要です。
修正申告による納税は?
修正申告書を作成すると、その申告書に追加で納付することになる法人税額などが記載されます。
まずは「本税」といって、速やかにその法人税額や消費税額を納付します。
同時に法人住民税、事業税なども、都道府県・市町村に修正申告書を提出し、それぞれ納付します。
その後しばらくして、過少申告加算税や延滞税などの課税通知・納付書が送付されてきますので、その都度納付していきます。
このように、税務調査が入り修正申告を行うころには、
修正申告による「本税」の納付⇒「加算税」の納付⇒「予定納税」というように、短期間に納税が重なり、思っている以上に税負担を感じることになるため、資金繰り面でも注意が必要になってきます。
こういった場合、予定納税などは分割納付に応じてくれたりすることが多いので、資金に都合がつかない場合、相談してみると良いと思います。
もちろん修正申告の必要がなければそれに越したことはありませんが、実際には調査が入った会社のうち7割以上は修正申告が発生しています。
意図的な脱税は絶対にダメです(ペナルティも非常に大きいです)が、過度に税務調査や修正申告を恐れることなく事業に集中していくべきでしょう。