増税が続いている消費税。一般消費者の負担感ももちろんですが、事業者の消費税納税の負担感もかなり重いものがあります。
そんな中、数年前から保険業と不動産業の簡易課税みなし仕入率引き下げとなっていますので注意が必要です。
消費税のしくみ
消費税の課税は思っている以上に複雑です。
実質負担するのは消費者ですが、納税の義務を負っているのは事業者です。
消費税を預かって納付する、という流れですね。
しかし、売上にかかる消費税の全額を納めるわけではありません。
実際には、売上にかかった消費税から仕入れや経費にかかった消費税を差し引いた残額が、納める税金になります。
売上でも経費でも、中には消費税がかからない取引というものが定められていたりして、実際の計算はとても複雑です。
代表的なものでは、人件費(給料や社会保険料など)や土地の売買や地代、保険料などには消費税がかかりません。
消費税の計算は原則通り行うと複雑なので、小規模事業者のための簡易な計算方法が用意されています。これが「簡易課税制度」と言われるものです。
消費税の簡易課税制度とは?
・課税売上が5000万円以下の事業者が適用できます。(2年前の売上高で判定)
・あらかじめ簡易課税の適用を受ける旨の届出書を提出しておく必要があります。
・業種別に「みなし仕入率」が設定されており、売上にかかる消費税からこの「みなし仕入率」を控除して、納める消費税を計算します。
したがって、仕入れや経費にかかる消費税は集計する必要がありません。
例えば、売上高3300万円の不動産仲介業者の場合。
簡易課税(みなし仕入率40%)を適用すると、納める消費税の計算は、
売上にかかる消費税300万円-(300万円×40%)=180万円となります。
実際に経費に掛かった消費税が50万円だとすると、本来なら300万円-50万円=250万円が納める消費税額となるところが、簡易課税を適用することによって70万円も少なくて済む、といったケースが出てきます。
実務上では、あらかじめ税理士事務所などが有利不利を予測して、簡易課税の選択のコントロールを行ったりします。
不動産業と保険業のみなし仕入率
近年みなし仕入率が引き下げられた保険業と不動産業。
・生命保険や損害保険の代理店を行っている方。
・不動産業者さん。
・不動産賃貸を行っている方(事務所や駐車場などで1000万円以上の賃貸収入がある方が対象。住居の賃料には消費税はかかりません)。などです。
以前より10%引き下げられ、現在のみなし仕入率は次の通りとなります。
・保険業 50%
・不動産業 40%
そもそも一般的に多くの課税仕入れや課税となる経費が少ない業種なので、このみなし仕入率でも十分メリットがでる会社も多いと思います。
あらためて、原則課税と簡易課税の有利不利をチェックしてみましょう。