個人事業主が損害保険金を受け取った場合に知っておきたい、税金の話

店舗兼自宅が火災にあった。凍結によって水道管が破裂して水漏れが起きた。など。

そんなときに心強い味方になってくれる火災保険の保険金ですが、受け取った場合に税金がどうなるか気になるところ。

所得税・住民税や消費税はかかるのか?まとめてみました。

受け取った損害保険金が、所得税や住民税の対象となる収益とされるのかどうか?
ポイントは、その損害保険金が、何の損害を対象としたものか、という点です。

建物や設備の損害に対するものは「非課税」

通常、火災保険契約のメイン部分になっていると思いますが、災害によって加えられた資産の損害に起因して算定された損害保険金は、原則非課税です。

これは、受け取る金額が多い少ないにかかわらず、所得税法上で「非課税」という取り扱いになっているため、
例えば、2,000万円の保険金を受け取ったが、原状回復工事に1,500万円しかかからなかった。
という場合でも、手元に残った500万円についても、何ら課税されることはありません。

逆に、保険金を受け取ってもなお損害額が残る、という場合はどうでしょう?

保険金を差し引いた損失額について、事業用の店舗や事務所などについては、事業所得の計算上、必要経費に算入できます。

また、自宅部分や家財などについては、雑損控除などの適用対象にもなってきます。

商品・棚卸資産の損害については「課税」

例外として、商品や原材料など、棚卸資産の損害として算定される保険金は、課税対象となります。
処理としては、受け取った保険金を事業所得の収入金額に算入し、その商品の仕入れ代金は、そのまま「仕入高」に算入しておきます。

休業中の売上や利益を補填するものは「課税」

災害によって休業を余儀なくされた場合の利益を補填するような特約が付いている場合、その保険金は、課税対象になります。
もともと事業の収入として期待されていた部分を補填するという意味で、課税対象になると理解しましょう。

消費税の取り扱いは、「課税対象外」

そもそも、消費税の対象となる定義=「資産の譲渡等の対価として収受するもの」に当てはまらないので、消費税の計算対象に入ってきません。
なので、受け取った年度の消費税に影響ないばかりか、免税事業者の境界線(年間売上1,000万円)や、簡易課税の適用ライン(年間売上5,000万円)にも全く影響しません。

保険金を使って行った修繕費用や仕入代金は?

保険金が収入として算入されていない以上、保険金の範囲内で行った修繕や仕入は、所得税の必要経費には算入されません。

一方、消費税の計算では、このような収入と費用のリンクがありません。
よって、修復工事や再仕入についても、仕入税額控除を適用できる、という取り扱いになります。

以上、個人事業において、損害関連ではかなり有利な取り扱いが多いです。

災害はないに越したことはありませんが、起きてしまった場合、有利な計算はきっちり行い、再起を図っていきましょう。

※今回は、「個人事業主」の前提で記載しました。
 法人の場合は、取り扱いが大きく異なりますので注意が必要です。

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